工損調査

(「工損調査標準仕様書(案)」に基づいた近隣家屋調査について)

工事に伴う近隣家屋調査とは、もともと道路や河川等、公共の大型土木工事において、区画変更や民地の切り取りなど損失が出ること、あるいは地盤変動等の大きな変化が見込まれることを前提とし、損失補償の算定資料として作成するものでした。その後、公共、民間にかかわらず、一般建築物の工事においても実施されるようになり、近隣家屋調査として現在に至っています。
公共の工損調査については、平成3年12月に発行(平成15年に一部改定)された「工損調査標準仕様書(案)」を参考として、各自治体で作成された仕様書に基づき、調査家屋の実測図面や建築方法、素材、年数その他詳細な記述を求められています。補償を前提としているので補償コンサルタント等への委託という指定が記されています。この資料は書類ベースのデータがほとんどで、写真自体はほんの参考程度に添付されます。これは、現場に頻繁に出向くことの無い公共事業所の担当者が机上で判断できるようにと要望する資料であると言えます。近隣の住民様にとっては、工事のため少なからず生活上の制約を強いられる上、図面などの詳細なデータをとられるとなるとかなりの苦痛であり、個人データの保護が謳われる昨今の風潮に逆行するものと感じられなくもありません。

イセヤの【近隣家屋調査】

イセヤでは、従来の「工損調査標準仕様書(案)」の規定にとらわれることなく、写真を重視し、近隣家屋の住民様と実際に工事を行う現場担当者様が確認しやすい資料を作成し、双方が気がかりであると感じた部分は余さず写真に記録します。
現在の建設工事における工法、技術及び建設機械の性能の向上により、現場周辺に地盤の変動がおこり、近隣家屋に影響をあたえる事例はほとんどありません。しかし、予測不能な地盤の状況や工事のトラブル等により、周辺に影響が出る可能性も無いとは言い切れません。その万が一の事態に備えた資料の作成が「近隣家屋調査」です。
既にある損傷の状況、経年変化の見られる部分の状況、今後変化が起こる可能性の高い部分の状況を、拡大撮影や計測した数値が確認できる接写撮影によって、簡単でしかも正確に確認できる資料の作成を心がけています。
とは言え、公共工事あるいは公共工事に準ずる工事の場合、工事資料作成上どうしても「標準仕様」に沿った調査資料が必要な場合があります。そういった時は、住民様のご了承をいただいた上で、別途図面・一覧表等の作成を行います。その場合でも、写真を減らすことはせず、拡大写真によって詳細部分を確認できる資料にする点は、かわりありません。
また、資料作成におきまして、工事会社様、近隣住民様の要望にはできる限り対応させていただきますので、その都度お申し付け下さい。